『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
TOPスポンサー広告 ≫ ボークと暴投(または捕逸)が重なった場合の処置TOPルール解説 ≫ ボークと暴投(または捕逸)が重なった場合の処置

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | Comments (-) | Trackbacks (-)

ボークと暴投(または捕逸)が重なった場合の処置

先日、ある方から頂いたルールの質問が興味深かったので紹介します。

質問は、「走者一塁で、カウントはツーボール以内(スリーボールになっていない)。投手はボークを宣告されたがそのまま投球した。投球が暴投または捕逸になり、捕手が正規に捕球できなかったため、ボールがバックネット方向に転がった。一塁走者は二塁までは悠々到達したが、この場合はインプレーとなるため、アウトを賭して三塁に進むこともできる。ということは、ボークは取り消しと考えて、投球をカウントしていいでしょうか」というものでした。

結論から言うと、この場合はボークは取り消されませんので、投球はカウントしません。

関連規則を紹介します。

8.05
ペナルティ 本条各項によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、一個の塁が与えられる。
 ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも一個の塁を進んだときには、本項前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。
【付記一】投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球(投球を含む)した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。


 上記により、ボークが宣告され、なおかつその投球を捕手が正規に捕球できなかったので、一塁走者はその暴投または捕逸の結果を見て、二塁から三塁に進むこともできますし、二塁にとどまることもできます。

 もし、二塁にとどまった場合は、ボークと同じ結果にはなりますが、打者は進塁することができていない(投球がボールだとしても四球ではない)ので、8.05ペナルティの規定に合致しませんから、走者はボークによって二塁が与えられたことになります。よって、アンパイアリングとしては、①ボークを宣告 ②投球の結果を見る ③捕手が正規に捕球できなかったので続くプレイを見る ④一塁走者が三塁に進まないことを確認して「タイム」を宣告 ⑤投手に改めて「ボーク」を宣告し、走者にはそのまま二塁にとどまるよう指示 ⑥球審からボールカウントが増えないことを発表し、プレイ再開 となります。

 もし、三塁に進んだ場合は、そのプレイが落着するまで様子をみます。アウトになってもセーフになっても、8.05ペナルティ【付記一】により、そのプレイは成立します。そして、打者が一塁に進んでいない以上は、ボークが成立することになるので、アンパイアリングは以下のようになります。①ボークを宣告 ②投球の結果を見る ③捕手が正規に捕球できなかったので続くプレイを見る ④一塁走者が三塁でセーフになり、次の塁には進まないことを確認して「タイム」を宣告 ⑤投手に改めて「ボーク」を宣告し、走者にはそのまま三塁にとどまるよう指示 ⑥球審からボールカウントが増えないことを発表し、プレイ再開。もしアウトになった場合も同様にします。

 質問をくださった方は、「打者が捕手の送球動作を妨害した場合、結果としてその送球で走者をアウトにすることができたら妨害を取り消すのと同じように、プレイが成立したからボークは取り消されるのじゃないかと思った」とのことでしたが、それとは違います。あくまで規則の字句通りにとらえてください。

 なお、今年の規則改正で、昨年まであった8.05ペナルティ【注一】が削除されました。【注】は米国オフィシャル・ルールズにはない、日本の規則委員会独自の注ですが、以下のような内容です。

2011年までの【注一】
 投手の投球がボークとなり、それが四死球にあたった場合、走者一塁、一・二塁、または満塁のときには、そのままプレイを続けるが、走者が二塁だけ、三塁だけ、または二・三塁、一・三塁のときには、ペナルティの前段を適用する。


 これは、簡単に言うと、ボークの投球が四死球に当たった場合、塁が詰まっているときは四死球によって走者が押し出されるので、ボークは取り消して四死球を生かし、打者も走者も進めましょうということです。8.05ペナルティに書かれていることを具体例を挙げて説明してくれているわけです。

 ところが、この文言は、捕手が投球を正規に捕球した場合(捕球の瞬間にプレイ完了とみなしてボールデッドになる)のことだけを想定して書かれています。そこで、たとえば、走者二塁でボークが宣告され、その投球が四球になって、なおかつ捕手が後逸したような場合、この【注一】の文言に縛られて、走者はボークで三塁に進めるが、打者はボーク適用で打ち直しというような誤った解釈をする場合が見られたそうです。この場合は、打者が四球で一塁に進み、走者も捕手の後逸によって三塁に進んでいるので、8.05ペナルティ後段の内容を満たしますから、ボーク取り消しになります。

 この誤解を避けるため、2012年の規則改正で、この注が削除されたわけです。現場で起こると一瞬考えてしまいそうですが、原則を順番にあてはめて、冷静に対処すれば難しくはないと思います。

Comment

ボークの処置
編集
もし、この場面に遭遇していたら、間違って処置するところでした。大変わかりやすい解説です。
でも、即座に対応できるか否かは不安です。
2012年04月25日(Wed) 21:40
適用ミス経験あり
編集
ボーク+暴投、間違えて1ボール加算してしまったことがあります(恥)。2008年春の阿南にて。
2012年04月26日(Thu) 00:04
Re:ボークの処置
編集
池田さん
ありがとうございます。あの【注一】はホントに曲者だと思います。ルールに詳しい人ほど考えすぎてしまうと思うので。だから結局、ルールの原典に、素直に当たるのがいいんだろうと再認識しました。
2012年04月26日(Thu) 02:08
Re:適用ミス経験あり
編集
もみ山さん
あー、なんか、私が行く前の話ですよね。コマさんから聞きました。もみ山さんが間違えるったら相当ですよ。野球のルールって難しいなあ。
2012年04月26日(Thu) 02:10












非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL

プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

カレンダー
03 | 2018/04 | 05
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
FC2カウンター
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
Amazon
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。