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『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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【2017年公認野球規則改正(8)】

(8) 5.08(b)を次のように改める。(下線部を改正)
 正式試合の最終回の裏、または延長回の裏、満塁で、打者が四球、死球、その他のプレイで一塁を与えられたために走者となったので、打者とすべての走者が次の塁に進まねばならなくなり、三塁走者が得点すれば勝利を決する1点となる場合には、球審は三塁走者が本塁に触れるとともに、打者が一塁に触れるまで、試合の終了を宣告してはならない。


 これは字句の修正でより正確な表現を目指した改正で、規則そのものや解釈が変わったわけではありません。「変更ありません」で済ませてもいいんですけど、少し解説します(笑)。

 まず、下線部の最初の方は昨年まで単に「三塁走者が本塁に進まなければならなくなり」と書いてありました。満塁で打者が四球、死球、その他のプレイ(一般的には打撃妨害などが想定されます)で一塁を与えられたら、いわゆる「押し出し」の状態になって塁上の各走者が1個ずつ進塁することになり、当然三塁走者も本塁に進まなければならなくなるので得点、という流れで自然に読み取れる文です。

 これをなぜかなり丁寧な文に書き換えたのかというと、2015年に米国オフィシャルルールで規則の条文構成を大改正した際、法律文書の専門家ということで弁護士さんが規則委員会に参加したんだそうです。その人が、規則書の中で一般の人から見ると曖昧ではないかと思われる表現をたくさん指摘したそうで、この改正もその一環とのことです。

 ですから、ふたつめの下線部も昨年まではその走者が本塁に触れる」となっていて、サヨナラ試合の得点をする走者だから、「その」走者と言えば三塁走者に決まっているだろうと思うわけなんですが、ここも正確に書き改められました。

 ちなみに、このケース(最終回裏、満塁からのサヨナラ押し出し)では、この文言通り、進塁の義務があるのは打者走者と三塁走者だけであって、一塁走者と二塁走者には進塁の義務がないことに注意してください。また、5.08(b)項には「ペナルティ」の規定があり、このケースで適宜な時間が経っても三塁走者があえて本塁に進もうとしなかった場合には球審が自ら三塁走者にアウトを宣告して試合を続行させると明記してあります。また、2アウト後に打者走者が同じくあえて一塁に進もうとしなかった場合も打者走者をアウトとして試合を続行させます(0アウト、1アウトであれば打者アウトで得点は認めてサヨナラです)。

 このペナルティは1957年に追加されました。本来なら守備側からのアピールがなければ規則違反をしている打者や走者をアウトにすることはできないのに、球審が進んでアウトを宣告するというのは革新的なルールとして受け止められたようです。当初日本の『公認野球規則』では、塁上のすべての走者が次塁に進塁する義務を負っているので、規則には明記されていない一塁走者や二塁走者であっても、次塁に進まないでいて守備側からのアピールがあればアウトになるという解釈をとっていました。しかし、「規則の文言通り、進塁の義務を負うのは三塁走者と打者だけである」という解釈に変更したアマチュア野球規則委員会と、「いかなる場合でも走塁の原則を崩すべきではない」と主張するプロ野球規則委員会の見解が分かれた時代があり、アマチュア内規で対応していたようです。結局、1979年にプロ側がマチュア側の解釈に同意したことで、現在の解釈に落ち着いています。

※参考文献『わかりやすい公認野球規則1993』(鈴木美嶺・郷司裕編、ベースボールマガジン社)


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プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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