『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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【2017年公認野球規則改正(7)】

(7) 5.07(a)(2)【注1】を次のように改める。(下線部を改正)
 アマチュア野球では、本項〔原注〕の前段は適用しない。


 規則5.07は「投手」という大見出しになっている項目で、(a)投球姿勢 (b)準備投球 (c)投手の遅延行為 (d)塁に送球 (e)軸足を外したとき (f)両手投げ投手 の6項目からなっています。その中でも(a)項の「投球姿勢」は(1)ワインドアップポジション (2)セットポジション の2つの投球姿勢を規定しており、投手が投球するに際しての基本中の基本を説明する項目です。

 今回改正された(a)(2)項の【注1】を見る前に、まず規則本文と【原注】を確認しましょう。

公認野球規則5.07投手
(2)セットポジション
 投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる。
(中略)
 投手は、ストレッチに続いて投球する前には(a)ボールを両手で身体の前方に保持し、(b)完全に静止しなければならない。審判員はこれを厳重に監視しなければならない。投手は、しばしば走者を塁に釘づけにしようと規則破りを企てる。投手が〝完全な静止〟を怠った場合には、審判員は、ただちにボークを宣告しなければならない。
【原注】 走者が塁にいない場合、セットポジションをとった投手は、必ずしも完全静止をする必要はない。
 しかしながら、投手が打者のすきをついて意図的に投球したと審判員が判断すれば、クィックピッチとみなされ、ボールが宣告される。6.02(a)(5)〔原注〕参照。


 このように、セットポジションからの投球に関しては、再三にわたって「完全な静止」が要求されています。セットポジションで投手が静止してから投げなければならないことに関しては、もともとは打者へのクィックピッチを防ぐ目的で制定されたとされ、もうひとつの要因として走者の盗塁との駆け引きもあり、厳しく制限されてきました。

 しかし、現在の野球では打者へのクィックピッチよりも走者との駆け引きの方が重視されているので、走者がいないときには完全静止までは要求しなくてもいいではないかということで、米国では2006年の改正で【原注】によって無走者時の完全静止を不必要としました。この改正は2007年の公認野球規則に反映されましたが、規則委員会ではプロアマともに投球姿勢の乱れを懸念して、従来通り走者の有無にかかわらずセットポジションからの投球には完全静止を要求することで一致し、【注1】として「我が国では、本項〔原注〕の前段は適用しない。」が挿入されました。この背景には、当時日本では「二段モーション」を禁止することが決定した直後で、投球姿勢を一本化しておきたい意向があったことも見逃せません。

 それから10年が経過し、今回の規則委員会でプロ側からルール原文に合わせてはどうかという提案があったそうです。国際試合の増加に伴い、アマ側にも賛同の声があったそうですが、最終的には「プロは原文通り」「アマは従来通り」という結論になったので、【注1】が「我が国では」から「アマチュア野球では」に変更されたというわけです。

 いずれにせよ、無走者時のセットの静止はそれほど厳密に適用されてきた事例ではないので、そんなに気にする必要はないかと思います。ただ、アマチュア野球の正式な試合でプレイする場合には、無走者時であってもセットポジションからの投球に際してはあまりルーズな投げ方をせず、両手を合わせた後は静止するクセをつけておいた方がよいでしょう。ただし、打者を幻惑するためのテンポアップのような意図が明白な場合は、審判員も厳格にクィックピッチを適用して、フェアプレイを推奨するべきだと思います。

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プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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