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『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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【2017年公認野球規則改正(5)】

(5) 5.04(b)(4)を次のように改める。
①同(A)に(ⅱ)を追加し、以下繰り下げる。また(ⅲ)〈従来の(ⅱ)〉を次のように改める。(下線部を追加)
(ⅱ) チェックスイングが塁審にリクエストされた場合。
(ⅲ) 打者が投球を避けてバランスを崩すか、バッタースボックスの外に出ざるを得なかった場合。
②同(B)に次の(ⅰ)を追加し、以下繰り下げる。
(ⅰ) 負傷または負傷の可能性がある場合。


 5.04(b)は「打者の義務」という項目で、その(4)項は「バッタースボックスルール」です。「バッタースボックスルール」はMLBが打ち出している時間短縮施策の一環で、2006年からマイナーリーグで実施されてきました(公認野球規則では2007年から)。これは、打者が意図的にバッタースボックスを離れることで試合が遅延するのを防ぐために設けられたルールです。つまり、空振りをしたとか、バントを企図したとか、そういうことの後は仕方ないし、投手の方がマウンドを離れたから打者の方も仕切り直しをするなんていうのもいいけど、ただ投球を見逃した後に間を取りたいとか気分を変えたいというような理由でボックスを外すのは遅延行為だからいけませんということです。

 このルールはその後9年間、マイナーリーグに限ってという但し書き付きで運用されてきましたが、2015年についに但し書きが削除されてMLBでも実施されることになりました。それを受けて公認野球規則でも2016年から対応しています。そして今年の改正では2項目が追加されたわけですが、上記の変更点だけ見ても分かりにくいですから、条文をすべて紹介します。

公認野球規則5.04(b)打者の義務
(4) バッタースボックスルール

(A) 打者は打撃姿勢をとった後は、次の場合を除き、少なくとも一方の足をバッター スボックス内に置いていなければならない。この場合は、打者はバッタースボックスを離れてもよいが、〝ホームプレートを囲む土の部分〟を出てはならない。
(ⅰ) 打者が投球に対してバットを振った場合。
(ⅱ) チェックスイングが塁審にリクエストされた場合
(ⅲ) 打者が投球を避けてバランスを崩すか、バッタースボックスの外に出ざるを得なかった場合。
(ⅳ) いずれかのチームのメンバーが〝タイム〟を要求し認められた場合。
(ⅴ) 守備側のプレーヤーがいずれかの塁で走者に対するプレイを企てた場合。
(ⅵ) 打者がバントをするふりをした場合。
(ⅶ) 暴投または捕逸が発生した場合。
(ⅷ) 投手がボールを受け取った後マウンドの土の部分を離れた場合。
(ⅸ) 捕手が守備のためのシグナルを送るためキャッチャースボックスを離れた場合。
打者が意図的にバッタースボックスを離れてプレイを遅らせ、かつ前記(ⅰ)~(ⅸ)の例外規定に該当しない場合、当該試合におけるその打者の最初の違反に対しては球審が警告を与え、その後違反が繰り返されたときにはリーグ会長が然るべき制裁を科す。
【注】 我が国では、所属する団体の規定に従う。
(B) 打者は、次の目的で〝タイム〟が宣告されたときは、バッタースボックスおよ び〝ホームプレートを囲む土の部分〟を離れることができる。
(ⅰ) 負傷または負傷の可能性がある場合。 
(ⅱ) プレーヤーの交代
(ⅲ) いずれかのチームの協議
【原注】 審判員は、前の打者が塁に出るかまたはアウトになれば、速やかにバッター スボックスに入るよう次打者に促さねばならない。

 日本のアマチュア野球では、昨年の改正を受けて「アマチュア内規」で独自のペナルティーを定めるとともに、1年間の猶予期間としました。2017年からは猶予期間が終わったということでペナルティーを厳格に適用すること発表しています。アマチュア内規では、「その試合で2度目までの違反に対しては警告を与え、3度目からは投手の投球を待たずにストライクを宣告する」としていますから、1度くらいは警告をもらうこともあるかもしれませんが、ストライクのペナルティーまで発生することは稀だと思います。

 また、一般に「ダートサークル」と呼ばれる、〝ホームプレートを囲む土の部分〟を離れてもよいことを定めた(B)項には「負傷または負傷の可能性」が追加されましたが、これはグラウンド上のすべての関係者が対象となります。つまり、攻撃側の選手も守備側の選手も、あるいは審判員も含まれます。まあ、誰かがケガをしたりすれば当然タイムがかかるし、その際に打者がどこかに行ってもお咎めがないのは当たり前のことですよね。

 審判員の現実的な裁定としては、打者が投球をただ見送って本当は打席を外す(両足を外に出す)ことができないのに、明らかにうっかり打席を外してしまい、そのことに気付いてすぐ打席に両足を入れたとか、球審が打席に戻りなさいと促したらすぐに戻ったとかいうような場合にペナルティーを適用すべき規則ではありません。明らかに審判員の指示に従わないような場合に適用すべきだと思います。


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プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。2000年から中学硬式野球団体で本格的に審判を始め、社会人野球審判員を経て、2007年からは国内独立リーグでも活動する。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグ、2017年ベースボールファーストリーグで審判員を務めた。
※リーグ名はその年度の名称。BFLはオープン戦のみの参加。

現在は関東地方を中心に年間200試合前後の試合に出場しながら、後進の育成や野球規則に関する情報発信に努めている。また、執筆活動、インターネット番組司会、野球実況アナウンサーなど多方面で活動中。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に『中学野球小僧』(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119、『プレジデントオンライン』2018年5月12日「あと10年で"野球部の中学生"は全滅する」https://president.jp/articles/-/25104など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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