『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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スリーフットレーン外を走行する守備妨害【追記】

前回書いた記事の補足を2点あげておきます。

(1)西岡選手のコメント
 試合の翌日、西岡選手が公式Facebookページで以下のようなコメントをしていました。

ひとつ、昨日の最後のプレーについて僕が考えたプレーを説明します!
打った瞬間、僕はゲッツーを確信しました。
ルールで内側に入って送球が当たれば守備妨害は百も承知です!
普段ランナーがいないときも、打った瞬間左打ちでも内側からラインの外側にでています。ルールを知った上で打った瞬間ゲッツーになると思ったので、少しの可能性にかけて内側から外側に走って行くものを、ライン上スレスレを走って体に当たれと思いながら走ってました!
僕は送球が当たるときに足が外側にあればいいと思って走ったので、僕なりにルール上ギリギリのプレーはしたつもりでした!
それが僕が考えたプレーです!
この考えにも賛否があると思いますが、正直に伝えたいからフェイスブックでコメントさせていただきました。
いろんな意見ありますが全て受け止める覚悟です!
ただ、走塁どうこうより、あの場面で打たない僕が悪いのです!
なんか阪神ファンを喜ばせたい一心でしたが間逆になりました!
ほんとに残念な思いにさせてしまって申し訳ありませんでした!!


 細かく論評することは避けたいと思いますが、西岡選手が「故意に」あの位置を走ったことが分かりました。そして、残念ですが西岡選手はルールを正しく理解していなかったようです。繰り返しになりますが、あの走塁では「ギリギリのプレー」ではなく「完全にアウト」です。今回のプレイをきっかけに、正しいルールを理解されることを願います。

(2)もし無死満塁だったら?
 このプレイに関して、コメント欄で質問があったのでお答えします。

ひとつ質問があるのですが、
今回は一死満塁から本塁封殺→守備妨害で併殺・三死となりましたが、
もし無死満塁でこのような併殺となったらどのような状況で
試合再開となるのでしょうか(つまり、二死で走者はどうなるのか、です)。
根拠となるルールも教えてください。


 とても良い質問だと思います。まず結論から言うと、無死満塁から同じプレイが起こった場合、「3塁走者は本塁封殺でアウト、打者走者は守備妨害でアウトになりボールデッド。1塁走者と2塁走者は守備妨害が発生した時点の占有塁に戻して再開する」という形になります。例えば妨害発生時に2人とも次の塁に達していなかったら、二死1塁・2塁で再開することになります。

 ただし、3塁走者が封殺された後のプレイなので、打者走者が守備を妨害する頃には2人とも次塁に達している可能性が高いと思います。その場合は、二死2塁・3塁で再開します。ついでに全部書いておくと、もし1塁走者は次塁に達していなかったが2塁走者は達していたということになれば二死1塁・3塁、逆に1塁走者は次塁に達していたが2塁走者が達していなかったということなら二死1塁・2塁での再開になります(後者は2塁走者を2塁に戻す都合で、1塁走者も戻されると考えてください)。

 根拠となる規則は以下の項目です。

公認野球規則2.44
INTERFERENCE「インターフェアランス」(妨害)
(a) 攻撃側の妨害――攻撃側プレーヤーがプレイしようとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。
 審判員が打者、打者走者または走者に妨害によるアウトを宣告した場合には、他のすべての走者は、妨害発生の瞬間にすでに占有していたと審判員が判断する塁まで戻らなければならない。ただし、本規則で別に規定した場合を除く。
【原注】 打者走者が一塁に到達しないうちに妨害が発生したときは、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなければならない。
 ただし、0アウトまたは1アウトのとき、本塁でのプレイで走者が得点した後、打者走者がスリーフットレーンの外を走って守備妨害でアウトが宣告されても、その走者はそのままセーフが認められて、得点は記録される。
【注】 本項〔原注〕前段は、プレイが介在した後に妨害が発生した場合には適用しない。


公認野球規則6.05
 打者は、次の場合、アウトとなる。
(k) 一塁に対する守備が行われているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットレーンの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。(以下略)


 上記のように、攻撃側プレーヤーが守備妨害をしたら、他の走者は妨害発生の瞬間の占有塁に戻らなければならないというのが原則です。ですから、審判員は複数の走者を抱えている場合には、妨害発生の瞬間に他の走者がどこにいるかをしっかり確認しなければなりません。

 余談ですが、走者を戻すケースは「投手の投球当時の占有塁に戻す」「野手の送球当時(送球が手を離れた瞬間)の占有塁に戻す」「妨害発生の瞬間の占有塁に戻す」の3パターンがあるので、審判員はプレイによってどのパターンを適用するルールなのかを覚えておかなければなりません。走者の位置もパターンの識別も、グラウンドにぼーっと立っていたのでは咄嗟の場合に対応できません。プレイをしっかり観察し、起こり得るプレイを予測し、心の準備をしておくことが大切です。

 そして、少しだけ例外はありますが、6.05(k)もそうであるように、守備妨害は発生の瞬間にボールデッドになるのが原則です。ですから、打者走者が一塁手の捕球動作を妨害したと判断した瞬間に審判員(この場合は普通球審)は力強く「タイム」を宣告してまずプレイを止め、打者走者に守備妨害によるアウトを宣告し、他の走者を適切な塁に進める(または戻す)指示をします。

 今回の日本シリーズのケースで、もうひとつ参照しなければならないのが、上記2.44(a)の【原注】と【注】に書いてある部分です。打者走者が1塁に到達するまでに守備妨害が発生したら、全ての走者は「投手の投球当時の占有塁」に戻すとなっています。しかし、打者走者が1塁に向かう途中で守備妨害をする前に別のところでプレイが行われたときは、そのプレイを有効としましょうとういうルールです。

 【原注】の後段に書いてある事例が、この件で想定されているプレイなので、もう少し詳しく補足します。たとえば、走者が3塁にいる状態でスクイズが行われたとします。このゴロを本塁前で投手が捕球し、本塁はあきらめて1塁に送球しました。ところが、打者走者がスリーフットレーンを外れて走塁していたために1塁手の捕球動作を妨害してしまい、妨害によるアウトを宣告されました。これが【原注】前段に規定されているケースで、打者走者の1塁到達前の妨害なので、3塁走者のホームインは取り消されて、投手の投球当時の占有塁である3塁に戻されることになります。

 しかし、ゴロを捕球した投手が自分で3塁走者にタッグをしたり、捕手に送球したりしたけど3塁走者がセーフになってホームインしたとします。その後で1塁に送球され、打者走者が守備妨害をする。このケースも打者走者の1塁到達前の守備妨害ですが、実際にプレイがあってセーフになったのに、このホームインを認めないのは違和感があるということで、このように守備妨害前に「プレイが介在」した場合には、そのプレイを生かそうというのが【原注】後段と【注】が規定している内容です。

 ちなみに、この例で投手がタッグや捕手への送球をちょっとするそぶりを見せたけどやっぱりやめて1塁に送球したという程度の動きなら「介在プレイ」とはみなしません。1塁への送球を「最初のプレイ」とみなして【原注】の前段を適用します。タッグして空振りしたというようなものは、タッグの行為には失敗していますが、明らかにプレイを行っているので「介在プレイ」として【原注】後段を適用します。

 今回の日本シリーズの例でも、まず本塁でプレイがあってから、1塁への送球が行われて守備妨害が発生しています。これが打者走者の1塁到達前の妨害だからといって、妨害より前のプレイが取り消されてアウトになった3塁走者が3塁に戻されたらおかしいですよね。

 説明するとちょっと長くなってしまうんですが、よく考えてみればそんなに難しい判断ではないので、原則と例外を順に当てはめて考えてみてください。良い質問を頂き、ありがとうございました!

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プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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