『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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審判の受難(フェア/ファウルの基準②)

先日、フェア/ファウルの基準について書きましたが、こんな映像も見つけました。



この試合は、本来三塁塁審を務めるはずだったジョー・ウェスト審判が病気のために欠場し、審判三人制で行われたようです。その結果、3つも判定トラブルが起きてしまい、しかも監督が退場になるという、審判団にとっては大変なゲームになってしまったようです。

フェア/ファウルの判定に関するトラブルはこの映像の2つ目の内容で、1:27から始まります。右打者が思い切り引っ張った打球は鋭く三塁線を抜きましたが、三塁塁審が内野内に位置する状況だったので、このフェア/ファウルの判定は球審が行うことになり、判定はファウルでした。

ところが、1:56から、三塁ファウルライン正面の角度からのリプレイ映像が流されると、この打球がわずかに三塁ベース上空を通過しているようにも見えます。もしそうだとすれば、ルール的にはフェアということになります。実況アナウンサーと解説者も「これはフェアボールですね」「フェアのようですね」というような会話をしています。だから「誤審だ!」ということで作られた映像なのでしょう。

三人制でこのような打球が飛ぶことは、判定を担当する審判員にとって非常に厳しいことです。欠場したクルーチーフのことを恨んだかもしれませんが、球審は自分の見えたところから、見えたままの判定をするしかありません。球審のロブ・ドレイク審判にはファウルに見えたのだと思いますし、それが野球というものだと思います。

ついでに他の映像の解説をしておくと、ひとつ目はチェックスイング(ハーフスイングの確認)の判定をめぐるものです。左打者のチェックスイングをキャッチャーが三塁塁審に聞いてもらおうとしたらそこには審判がおらず、内野内に位置していた塁審に聞いたらノースイングの判定。フィリーズのチャーリー・マニエル監督が激昂してベンチ内から文句を言い、球審によって退場が宣告されました。

日本ではこのような退場は行われないので奇異に感じる方もあるかもしれませんが、野球規則9.02(a)には、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから異議を唱えることは許されないとあります。また、4.08には、ベンチにいる者が審判員の判定に対して激しい不満の態度を示した場合は警告を発してから退場を命じるという規定もあります。アメリカのプロ野球では、この規定が厳格に適用されるので、日本に比べてはるかに多い退場が宣告されています。

3つ目は、三塁への盗塁をめぐるもので、これも三塁ベースに三塁審判がいないシチュエーションで起きた盗塁でした。映像は2:05から始まります。この場合は内野内に位置している三塁塁審が、できるだけ三塁方向に移動して判定することになります。三塁に滑り込んだビクトリーノ選手はセーフを確信していたようですが、判定はアウト。リプレイでは、走者の足がタッグをかいくぐっていいるようにも見えますが、これも審判は自分が見えた位置から、見えたように判定するしかありませんから、塁審にはアウトに見えたのだと思います。

四人制でも完璧ではありませんが、審判三人制や二人制では、どうしても審判の数が少ないことによる死角や、距離の遠さが出てしまって、正しくない判定をしてしまったり、正しい判定をしても信頼してもらえないことが起こり得ます。そこを何とか一生懸命見ようと思って審判員は頑張るのですが、それでも100パーセント完全な判定をし続けることは難しいことです。

最近では様々な形でこのような映像を見ることが容易になってきていますが、このような映像を見て、その審判員の判定をあげつらうのではなく、どうすればより正確な判定ができるのかを研究していくことが大事なのだと思っています。

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まとめtyaiました【審判の受難(フェア/ファウルの基準②)】
先日、フェア/ファウルの基準について書きましたが、こんな映像も見つけました。Your browser does not support iframes.この試合は、本来三塁塁審を務めるはずだったジョー・ウェスト審判が病気...
2012年05月12日(Sat) 05:46
プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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