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『わかりやすい野球のルール』粟村哲志のブログ

『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)監修者である現役野球審判員のブログです
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バックスイング・インターフェアランス

先日、試合を終えて帰り支度をしていると、片方のチームの捕手が通りすがりにこんな質問をしてきました。

「さっき、僕のミットをバットが叩いたじゃないですか? あれって守備妨害とか、何かにならないんですか?」

細かな状況は忘れましたが、打者が投球を打って走り出す前に、大きなフォロースルーでバットが大きく一回転し、キャッチャーのミットと軽く接触したのです。この場合はどうしたらいいでしょうか。

実は、このことを定めたルールは存在しません。強いて言えば「ナッシング」です。「え、バックスイング・インターフェアランスじゃないの?」と思われた方のために、以下に規則を引用します。

野球規則6.06(c)
【原注】(前略)打者が空振りし、自然の打撃動作によるスイングの余勢か振り戻しのとき、その所持するバットが、捕手がまだ確捕しない投球に触れるか、または捕手に触れたために、捕手が確捕できなかったと審判員が判断した場合は、打者の妨害とはしないが、ボールデッドとして走者の進塁を許さない。(後略)


赤字・下線で強調しておきましたが、このルールは打者が空振りして、その余勢か振り戻しで捕手を妨害してしまった場合について規定しています。打者が投球を現実に打って、さらに捕手にバットが触れたということについては、規則書のどこにも書かれていません。

空振りの場合のバックスイング・インターフェアランスの例を、MLBの動画から紹介しておきます。



2010年の試合ですが、打者(あのマニー・ラミレスです)が空振りし、スイングの余勢で捕手を叩いてしまったため、テッド・バレット球審が「バックスイング・インターフェアランスだから、ランナーは一塁に戻りなさい」と言っています。実に典型的なケースで、またこの動画は最後に「SOUNDS OF THE GAME」というリプレイがあり、実際にバレット球審が言っている言葉が聞けるので、非常に勉強になります。

しかし、打球を打ってから、さらにキャッチャーをバットでたたくというのは、こんな感じになります。



無死二塁・三塁から、打者(アルバート・プホルス)が深いショートフライを打ち上げました(浅いセンターフライと言ってもいいくらいの位置でしたが)。これが普通に捕球されて1アウトになるのですが、実はこのときプホルスのバックスイングがキャッチャーの頭をモロに叩き、キャッチャーが倒れてしまいました。結局選手交代となるほどの事態になりますが、もしこのフライがもっと深くて、犠牲フライになるようなプレイだったらどうだったでしょうか。

結論としては、最初に述べたようにナッシングとするしかありません。規則は、①打者が投球を打つ前に捕手のミットを叩けば打撃妨害、②打者が打ったが投球がバットに当たらず、さらにバットが捕手のミットや身体をを叩いた場合はバックスイング・インターフェアランスとしてボールデッド、③打者が実際に打った後でバットで捕手を叩いた場合はナッシング、と定めているという風に、打者がいつバットで捕手を叩いたかによって場合分けして覚えておくといいと思います。

ちなみに、MLBの公式サイトで"backswing"と検索すれば、紹介した2つ以外にも、たくさん映像が出てきます。中には審判が叩かれたものもあります。アメリカ人は手が長く、スイングも豪快なので起こりやすいとも言われますが、私は先日、打者がバットを後ろに放り投げたものにモロにぶつかったことがあります。幸いレガーズを直撃したので何ともありませんでしたが、打者がバットを振り回せば何が起こるか分からないので、キャッチャーもヘルメットを必ずかぶってほしいと思いますし、審判も軟式野球だからとか少年野球だからとかいう理由で装具を簡素にしたりせず、しっかり防備してほしいと思います。

※「打者が打ったが投球がバットに当たらず」という術語は個人的には気持ち悪くて好きじゃないのですが(日本語で「打つ」といえばバットがボールに当たったことを言うだろうと思うので)、規則書通りの表現なので使ってます。アメリカのルールブックやMLBマニュアル等で"If a batter strikes at a ball and misses...."と表現されているので直訳してるんだと思いますが、こういうのは意訳して構わないと思うんですけどね。
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プロフィール

粟村哲志

Author:粟村哲志
1975年8月4日広島県生まれ。早稲田大学卒。早大在学中に、故・西大立目永氏に師事して審判を学ぶ。リトルシニア関東連盟審判員、東京都野球連盟(JABA)審判員等を経て、2007年から国内独立リーグで活動。2007年北信越BCリーグ、2008年四国・九州アイランドリーグ、2012BCリーグ、2013~2014年ルートインBCリーグ(クルーチーフ)、2015日本女子プロ野球リーグで審判員を務める。

現在は、リトルシニア関東連盟審判部技術委員(練馬シニア所属)。NPO法人Umpire Development Corporation正会員。関東審判倶楽部(KUC)アドバイザー。東都学生軟式野球連盟嘱託審判員。

監修書に『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)、『バッティングパーフェクトマスター』『ピッチングパーフェクトマスター』(別冊ルール解説、新星出版社)がある。インタビューおよび寄稿に「中学野球小僧」(白夜書房)2006年7月号「実戦で役立つボーク完全解説」p114~121、2007年1月号「ぼくらの野球用具大特集」p46、2007年5月号「7つの場面で徹底理解するランナーのルール」p162~169、2008年5月号「中学球児のためのグラウンドルール&マナー講座」p114~119など。

主な出場記録は以下の通り。
【リトルシニア】
日本選手権大会(00~07、09~15)
全国選抜大会(02、04~05、07、10、13、15)
ジャイアンツカップ(01~02、06~07、09~15)
【プロアマ交流戦】
茨城ゴールデンゴールズ対NPB選抜「フューチャーズ」球審(2007.5.31 水戸市民球場)
【BCリーグ】
2007年公式戦6試合出場
2012年公式戦2試合出場
2013年公式戦37試合(うちGCS2試合)/NPB交流戦1試合/OP戦2試合出場
2014年公式戦(集計中)
【四国・九州アイランドリーグ】
2008年公式戦55試合出場/NPB交流戦2試合出場
【女子プロ野球リーグ】
2015年公式戦(集計中)

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